細胞の力学的負荷と収縮性評価

研究分野

  • 新規強心薬の開発
  • 細胞の力学的負荷と収縮性評価
  • タンパク質分解を標的とした薬剤スクリーニング
  • 転写制御・1細胞トランス クリプトーム
  • ミトコンドリア病 治療薬開発

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細胞の力学的負荷と収縮性評価

培養細胞への力学的負荷システムの構築

遺伝性心不全を含めた心不全の発症には遺伝的素因のみでなく、力学的負荷(環境因子)も大きく影響します。これまで培養心筋細胞に対する力学的負荷として、シリコン上に培養した心筋細胞を伸展させる伸展刺激(生体での容量負荷を模倣)が行われてきましたが、生体での圧負荷を模倣するシステムがありませんでした。そこで私たちは、培養細胞に圧力負荷を与えるシステムを大阪大学大学院工学研究科と共同して開発しました。このシステムを用いて疾患iPS心筋細胞など力学的負荷に対する応答の違いについて検討しています。
本研究は、千葉大学大学院理学研究院物理学研究部門と東京工業大学工学院機械系との共同研究を行っています。

培養心筋細胞の収縮性評価系の構築

生体で拍動する心臓は、収縮に際して力(force)を発生すると同時にある速度(contraction velocity)をもって短縮(shortening)することで有効な血液の拍出が可能となります。心臓の仕事率Powerは拍動する心臓の最も重要な収縮性の指標であり、Power = force x velocityで表わされます。一方、培養心筋細胞を用いた収縮性はこれまで細胞短縮率のみが観察されることが多く、収縮性の評価系としては不十分と考えられます。そこで私たちは、特殊な加工をしたシリコン上に心筋細胞を培養して、収縮に際して形成されるシワ(wrinkle)から発生する力を測定できるシステムを開発しています。収縮に伴うforceとcontraction velocityを同時に測定することで培養心筋細胞でもpowerを測定することが可能となります。また、SI8000(SONY)を導入し、motion vector analysisを行うことで培養心筋細胞のCDD(contraction deformation distance)およびRDD(relaxation deformation distance)も測定することが可能です。このシステムを用いて、薬剤の効果や様々な遺伝性心筋症のiPS心筋細胞の収縮性を評価し、病態解明に取り組んでいます。
本研究は、大阪大学大学院基礎工学研究科(出口真次教授)と大阪大学大学院医学系研究科循環器内科との共同研究を行っています。

培養心筋細胞の発生張力を測定するCell force assay

これまで培養心筋細胞では発生張力を測定するシステムがありませんでしたが、特殊な基盤の上で培養することで、収縮の際に形成されるシワから発生張力を計算して測定できるようにしました。

担当者 塚本 蔵